【こどもカウンセリングへの思い】

こどもカウンセリングを始めようと思ったきっかけをお話しましょう。

人のことは決して言えませんが、私も娘も器用なタイプではなくて…。

娘が幼稚園児の頃、「利発そうなかわいらしい子」によくいじめられていました。

利発そうで可愛らしい子が意地悪をすると最悪です。
隠すのが上手で、周囲に気づかれない。なんだか、いじめられ損な感じですね。


母である私は「いじめるよりはいいじゃないか」「人間関係の練習だし、少しくらいは放っておいても、いや、むしろ首を突っ込んじゃいけないんじゃないか」そう考えていました。しかし、娘から聞く話は、娘の不器用さが手に取るようにわかる内容でして…。苦笑 その分、「お友達からの状況も正確に報告しているな」とも感じました。

結果、私がわかったことは、「娘のことをはけ口にされている」ということでした。
どんなに周りから優しい良い子だといわれていても、誰かにこっそり意地悪したら、それは意地悪なんですよね。

もう少し早く気が付いてあげればよかったと思います。
いえ、本人から話は聞いていたのに、ある意味、様子を見るという名の「放置」をしてしまっていました。後悔です。

そして、はたと気が付いた時には、娘は徐々に私に出来事を話せなくなりました。

それからは「聞いてあげたい、この子には話して吐き出すことが必要だ」そう感じているのに、きいてあげられない。娘が頑張って話始めようとしても本人がすぐやめてしまう。そんな日が続きました。

その後、案の定「幼稚園行きたくない」「いなくなりたい…」という言葉が聞かれていきました。

そんなときです。知り合いの心理士さんに協力してもらい娘がカウンセリングを受けることになりました。

もちろん本人の承諾が必要です。私は娘にこのように伝えました。
「〇〇、最近ママが聞いても忘れたとか、話したくないって言うよね。きっとママが話の途中でいろいろ話しちゃうから安心して話せないんだよね。ごめんね。」
「△△先生知ってるでしょ。先生はお話を上手に聞いてくれる先生なの。だからママみたいにお話さえぎらないよ。」「話したら気持ちが楽になったり、元気になるんだって。だから話してみない?△△先生と。」「先生はママにもお話の内容はしゃべらないんだよ。だから安心してなんでも話していいんだってよ。」

はじめは、「話したくない」「話しても無駄」といった雰囲気で断っていた娘ですが、何日かたった後、娘の方から「先生にだったら、はなしてもいい。」と言ってきました。

その後、無事にカウンセリングを受けた娘は、今は元気に学校に通っています。
その時のことを今でも「先生がちゃんと、優しく、いろいろ聞いてくれた。」と、教えてくれます。

心にダメージを受けたとき、一緒に分かち合う安心できる人が1人でも多くいた方がいいと思います。その方が回復がグッと早まる思います。

時に親は、心配しすぎたり、二の足を踏んだりして、子供の「話したい」を逃してしまうことがあります。

親なんですから仕方ないと思います。

私は20年いろんな科や病棟で看護師として働き、患者さんからいろいろお話を聞いてきました。看護師として「聴く」ことは訓練を受けているし、自分でも患者さんのお話をよく聴きたいと思ってかかわってきました。
そのためか、ありがたいことに、患者さんにはたくさんのお褒めの言葉をいただいてきました。

それなのに、娘の苦しさには寄り添うことができませんでした。
自分自身ショックでした。

それ以来、そのためにというわけではないですが、公認心理師の資格も取ることができ、20年間培われた「聴く」ということを丁寧していきたいと思うようになりました。

今一番必要な子へ届けたい。
それは心が完全に病んでしまう前のお子さんです。「話すだけ」「わかってもらえる」ただそれだけで、自分の心が安定するお子さんが多くいらっしゃいます。

病院での治療や何度も受ける心理療法が必要になるまで放置せず、
傷が浅いうちに自分の元気さを取り戻してほしいなと思っています。
娘が手助けしてもらったように…。

それがきっかけです。


投稿者: rosemary@olivenurse

看護師歴20年。保健・養護教諭免許。公認心理師。